<変更理由>
TRYCUTやTRYCUT2000では、従来から加工計算処理中は
実数で干渉計算を行ってきましたが、DMF保存時にその実数値を0.001(mm)
の整数倍の値に丸目て保存していました。このことにより、場所によって
最大0.0005(mm)程度の誤差を生んでしまうという問題(差分表示機能で確認可能/
所々に点々表示)が
ありました。本変更により、完全にデータの劣化がなくなります。
<どうしてDMF内でわざわざ整数値にしていたか?>
TRYCUT開発当初から、高速性の追及には将来的に内部演算を完全に
整数化する必要があるということを念頭に、せめてDMFの構造だけでも
先に整数化しておこうと考えていたためです。
<実数化することに至った経緯>
具体的に本改善自体の指摘をいただいた例はありませんが、最近の御要望の内容から
判断すると、高速化より、DMFの差分表示や、微妙な干渉を回避するための最適化
機能の利用など、DMF保存時と呼び出し後の微妙な違いからでも問題が表面化しかね
ないと思われる機能の御要望や利用頻度が多くなってきています。また、さらに加工
対象物も針先の形状に代表されるように、0.001(mm)の精度で保存することに関しまして
も、十分と言えないようなケースも出てきました。
また一方、昨今のCPUの実数演算の高速化、また将来はさらに高速化されてゆく
ことが予想されている状況の中では、むしろ保存時も計算時と全く同じ実数
(4バイト)形式で保持させ、まずは機能改善を行う上での懸念をなく
しておいた方がメリットが多いと判断いたしました。また変更するならば、可能な限り
早い段階で行った方が混乱が少ないと考えました。
<現在の読み込み/保存処理>
移行を違和感なく行うため、最新バージョンでは以下のような仕様になっています。
機 能 | 仕 様 |
読み込み処理 | 変更前(整数)、変更後(実数)のいずれの形式でも読み込み可 |
保存処理 | 基本的に実数の形式で保存 (TRYCUT.INI内で"VALUE TYPE=INT"を指定すると従来型に変更可) |
<注意点>
※実数形式は、TRYCUT2000 MillenniumU
Revision15以降のバージョンでしか読み込むことはできません。万一
古いバージョンやフリーソフトのTRYCUTで読み込んだ場合は、予測不能な処理で
エラーになります。
以上、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。