差分確認方法の色々加工シミュレーション後に、加工面と、製品面やひとつ前の工程での加工面との 差分チェックを行いたい場合がよくあります。というより厳密には必ずそうなの かもしれません。 要望の中身を整理してみますと、ひと言で差分と言いましても、その言葉の 裏には様々な暗黙の要求があります。指定した位置の差分を調べてみたい というのはもちろんのこと、それが全体的にどのような分布になっているのか? また、それぞれ許容値を超えた部分に関しては、見落としのないようにしたい などなど...です。
TRYCUTでは「被切削材(W)」→「基準形状指定(B)」に
て比較対象を指定しておくことにより、差分に関して様々な視点で確認できるように
してきました。ヘルプにも書かれてはいますが、今一度これらの
機能群を整理したページを用意しました。
1. 差分値参照 1. 差分値参照 TRYCUTの画面上で右クリックして指カーソルを選択し、 ワーク表面をクリックすると、その位置にZ方向の差分と最短距離の差分の方向に線表示さ れると同時に、それぞれの距離がほぼ瞬時に左パネルの「Z増分」と「距離」に 表示されます。 線表示色は、初期設定状態では、プラス側は黄色、マイナス側は赤色で表示され、削り 残りだけでなく、食い込み量のチェックにも使えます。 局部的な状態を知るには適していますが、全体的な削り残りや食い込みの 傾向を把握するには適していません。
2. 差分の線描画
"L"キーを押すことにより、ほぼ瞬時に以下のようにZ方向の差分が線表示されます。差分
表示色は上記の局所的な差分表示と同様です。削り残り部と食い込み部は同時に色分けされて
表示されますが、見にくい場合には、それぞれ"+"キーと"-"キーにて、削り残り部のみの
表示や、食い込み部のみの表示が行えます。 ※差分の線表示色は「表示制御(P)」→「色の設定(W)」にて変更することが 出来ます。 3. 差分塗り
「被切削材(W)」→「差分塗り(F)」にて、Z方向と
法線(最短距離)方向の差分量を境界「指定値を超える差分を対象」にしてペンキやペン番号色を
塗ることができます。全体的な状態の把握と、正確な差分量が把握できるという
メリットがあります。
あくまでも弊社内でのテスト結果ですが、例えば ※並列処理化の効果を比較される場合には、初期設定ファイル(F1キー)[Define]セクションの "MULTI THREAD"でYES 又は NOを指定してお試し下さい。それぞれ、 並列化処理を「行なう」(YES)、又は「行なわない」(NO)の設定になります。並列化を「行なう」場 合は、コアの数分の並列化処理が行なわれます。省略時は並列化を「行なう」(YES)設定になっています。
法線方向に0.2mm以上残っている部分の表示 ※ペンキやペン番号の色は「表示制御(P)」→「色の設定(W)」にて変更することが 出来ます。
また、加工シミュレータとしては変則的な利用方法ですがペン番号色を利用して複数回の
差分塗り機能を使うことにより、差分量に応じたグラデーション表示も行なうことが
できます。例えばペン番号色を1から順番に少しずつ色を変化させて定義し、差分量を順番に増やし
て着色させると以下のような表示が行なえます。 このような表示は手動操作でも行なえますが、法線方向への差分表示機能は、比較的処理時間の かかるものですから、起動オプション(/xd...)でも対応していますのでバッチファイル(バックグラウンド)で 処理させるのも得策でしょう。 手順として、上記画像の例では、まず差分表示用の初期設定ファイル"sabun.ini"を"trycut.ini"をコピーして 用意し、次に[DMFdata]セクションの"SAVE_LEVEL"(インストール直後1)を2又は3の保存時にペン番号を 残す設定に変更、[Define]セクションの色設定を以下のように変更しておきます。
WORK COLOR=(255,255,255) この状態で、基準形状を"BASE.DMF"、差分評価形状を"ORG.DMF"とした場合に、以下のような処理を 並べたバッチファイル(*.bat)を実行すると一気に処理を行い最後に上のような差分画像を表示して くれます。ペン番号の数分の指定が出来ますので、TRYCUT2000では7段階、TRYCUT3000では15段階まで 色分けできます。
TRYCUT /i sabun /d ORG.dmf /o TMP.dmf /k BASE /xd+0.0n1 ※本処理に関しても、x64版のTRYCUT3000では並列処理化を行なっていますので、CPUのコアの数分だけ 倍速化します。
※色設定の切替では初期設定ファイルに替わるものとして、最新バージョンでは
以下のようなCTCファイルも対応されていますので
ご検討下さい。起動オプション/icで指定可能です。
4. 差分リスト出力(SDK利用)
1〜3で紹介した機能は全て目視によるものですが、いかなる目視チェックにおいても、不注意による
チェック漏れを防ぐことは不可能です。これを防ぐためには独自のチェック基準を設けて必要不可欠な情報を
リスト出力するという手段が適しています。
/// 差分情報リスト
[今後の予定] 差分確認支援として弊社内でのみ利用してきた別ツールです が、TRYCUT3000(x64版)では「複数のSTLやDMFを重ね合わせて同時描画 するツール(半透明表示やテクスチャーマッピングも可)」の無償配布(バンドル化?)も検討しています。
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