径補正の取り扱いについて


【径補正とは】
 2次元輪郭加工において、工具側の磨耗などで経路を補正する必要がよく出てきたりします。 実際の補正量は加工現場で判ることから、そのつどNCデータを作り直すことが面倒な場合があります。 また粗加工から仕上げまで何本もNCデータを持ちたくない場合などに、 あらかじめ経路は製品位置で出しておいて径に応じて工作機側で補正しながら動作させたいと言ったニーズもあります。
 それらの要求を満たしてきたものが、 今現在一般的に使用される径補正(G41,G42)機能と呼ばれるものです。
 使用方法は、様々でCNC側で補正量として工具径を指定したり、 磨耗値を指定して補正したりする使用方法がありますが、 多くは製品位置の経路を出力しておいて実際の工具径を補正値として指定している場合が多いものと思われます。


【CNC(コントローラー)側の径補正経路の生成】
 一般的にはCNC側での補正は、元経路でオフセットして開くような場合は、 角が落とされないように廻り込むように経路を生成し、逆に元経路どうしで干渉するような場合は、 干渉を除去する仕様になっています。ただし、この干渉とみなす判断は、 実際は予測の域を越えたものではなく、 例えば隣り合う経路のオフセット位置が干渉するような場合は、 まず干渉とみなせるから自動的に干渉を除去するなどの動作を行うのですが、 2つ先のブロック(移動情報)と干渉を起こす場合はどうするのか? 例えば8の字の経路を生成したような場合は、 必ずしも干渉と見なせないし、また間に微小な経路が挿入されているだけで、 その判断が異なってくるということもありえます。 どれが正解というものでもないですが、とりあえずは、 最近のCNCの多くは径補正時の先読み個数の設定が行えるようになっています。


【径補正用のNCデータ作成】
 CNC側における干渉除去には、限界があることから、 多くのCAMシステムではNCデータを作成する時点で、 あらかじめ想定している工具の最大径で補正値が与えられると想定して干渉除去を行っているシステムが、 ほとんどかと思われます。
 ただし簡単な経路で雛型があるようなケースであれば、 手作業でNCデータを作成した方が速い場合もあり、 このような場合の多くはCNC側の径補正機能の干渉チェックに頼る場合もあります。 この場合はCNC側の先読み仕様やクセをよく理解しておく必要があります。


【現行TRYCUT2000/3000/5000の径補正の動作】
 現行のTRYCUT2000/3000/5000の補正時の干渉を判定する 先読み数は1(固定)になっています。
 先読み個数の指定が出来ないところは十分ではないのですが、上記のような理由も あり、まずは安全サイドの仕様、つまりTRYCUT2000/3000/5000で干渉はしても、 実際は食い込まない場合もある。という仕様になっています。
(※例えばCNC側の先読み個数が2個以上に指定しているケース)
 また、2個以上先の要素との干渉があった場合でも警告は出さず、通常切削を 行っています。
 あくまでも現状の仕様ということです。



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